返事することに気を取られ重要な話を聞いていなかった日直業務の話

初めて訪問する方へ。うつ病時代のまとめ「社内ニートでうつ病になり休職のまま退職したサラリーマン時代のブログ」にて初めの記事から読むことができます。

あなたの周りには、まったく会話をしない、言葉を発しない人いませんか?

実は僕はそれでした。

僕の場合、新卒入社した会社の新人研修で行われたグループワークを境に言葉を全く発せなくなり一日中無言の日もあるほどでした。以前は普通に話しをできていたのにです。

その結果、どうやって話しをするのか?そればかりに気を取られ悩み続けました(詳細は「新人研修のグループワークで言葉を発せなくなった話」にて)。

話すことだけに問題を抱えていたのか?

答えはそうではありません。言葉を発せないという突然の変化は、話をすることだけでなく聞くことにも悪影響を及ぼしました。

今回は「言葉を発する」ことばかりに気を取られてしまったせいで、研修の日直だった日に重要な連絡事項を「聞く」ということをおざなりにしてしまい、一緒に日直を担当していた同期に暴言を吐かれてひどく落ち込んだ事件の話です。

ローテーションで回ってくる日直という役割

小学校、中学校、高校では、月に2回程度ローテーションで回ってくる日直という仕事がありました。やることとしては、教室移動の時の戸締りとか、授業始業時に「起立、礼」など号令をかけることです。

新人研修でも同様に日直という役割がありました。

新人2名で1日を担当し、講義前の挨拶、重要連絡事項の伝達、提出課題を回収する、そんなに大した仕事ではないですから、緊張する必要もない仕事でした。

人事の前ではしっかり返事しよう!という心がけ

その日は僕ともう1人の女性(Aさん)が日直担当で、Aさんと日直をするのはこれが2回目でした。その日の研修も終わりに近づき、僕とAさんは人事の人に何か連絡事項はないかを聞きに行きました。

  1. 人事から、連絡事項が日直に伝えられる。
  2. 帰宅前に新入社員全員に対して、日直がその連絡事項を伝える。
  3. 終業。

以上のような流れになっていました。

前回日直をやった時、2番目の連絡事項の伝達部分をAさんがやってくれていたので、今回は僕がするということになっていました。

しっかり対応しようと気合を入れました。なぜなら、新人研修(グループワーク)での作業進捗率が悪い、言葉すら発することができない情けない状況、人事の方がかなり厳しい方だったからです。日直ぐらいの仕事はしっかりやらなければならないと強く思いました。まずは、しっかりと返事や相槌をしよう。

Aさんと共に人事が待機している部屋に入り「今日の連絡事項は何かありますか?」と尋ねると、人事の方は僕たちに連絡事項を4つほど伝えてくれました。

僕はグループワークでは一言も言葉を発していないことをどうにかしなければならないと悩んでいたので、人事の方の前ではしっかり返事をしようと考え、人事の話に対してしっかりハキハキと「はい、わかりました」と返事しました。返事だけですが、しっかりできたと思います。

そして、「失礼しました」と部屋を退出しました。

あれ?話の内容を何も覚えていない

部屋を退出したとき、ハッと我に帰りました。

しっかりハキハキと返事をするということに気を取られて、話の内容を全く覚えていなかったのです。

ノートにメモをし忘れたというのも致命的なミスでもありましたが、新入社員の23歳の記憶力ですから、普通4つくらいの連絡事項は記憶できるはずです。

ところが、何一つとして思い出せません。僕の脳内には人事の話は何も残っていないのです。思い出すのは自分の「はい、わかりました」という僕の返事だけ。話を覚えていないのではなく、そもそも聞いていなかったのだと思います。聞いているふりをしていたのだと思います。

「どうしよう。どうしよう。どうしよう」

Aさんは僕の状況も知らずに、そそくさと研修部屋に戻って行き、僕もそれを追いかけるように研修部屋に戻りました。

Aさん助けてくれず

どうしようかと色々考えて勇気を出して、Aさんに人事からの連絡事項はなんだったのかを聞きに行きました。グループワークのメンバーにすら話しかけることができなかった僕ですから、そんなに関わりのないAさんに話しかけるのは労力が要りました。

それでもなんとか僕は、Aさんに「人事の連絡事項が1つも思い出せないから、教えてくれませんか?」と尋ねました。

すると、Aさんは「わからんかったら、人事にもう一度聞きに行けばいいじゃん」と言ってきました。「いや、そこをなんとか」などと頼み込める雰囲気ではなく、Aさんとの会話はそれで終わりました。

人事に聞き直しに行く勇気がない

ということはAさんも覚えていないということか?どうしよう。どうしよう。

あと少しで終業です。あと少しで、毎日無言で言葉を発することができない苦痛なグループワークから解放されて家に帰れるというのに、終業前に行われる連絡事項の伝達ができないという今の状況。どうしたらいいのか全然わかりませんでした。

人事に「もう一度教えてください」と聞きに行けばよかったのでしょう。でも、人事はかなり厳しく、そして口癖のように「一度言われたことをなんども聞かない」とか言っている人だったので、僕は躊躇してしまいました。

もはや非合理的な破壊的な思考・行動です。冷静であれば、恥を忍んで、人事に説教されようが、もう一度聞きに行くべきだったと思います。

でも、それができません。

7秒間の日直無言事件により暴言を吐かれる

いよいよ、終業時刻になりました。人事からの連絡事項を日直である僕が同期の新入社員に伝えるという時間です。

僕とAさんは前に出て、連絡事項を全員に伝えなければならないのですが、僕は「え〜っと」とか「その〜」とか言いながら、その後無言になりました。

僕「・・・・・・・・・・・・・」

しばらく無言が続きました。それでも7秒とかそんなもんだと思いますが、すごく長い時間でした。

横に立っていたAさんがサラサラと4つの連絡事項を伝え終業となりました。

僕はAさんに謝罪しようと思って近づいたところ、Aさんはみんながこっちに注目している中でここでは書けないようなひどいことを言って帰って行きました。命を否定する言葉です。

そんな言葉を浴びせられるくらいに、僕の出来の悪さが広まっていたのだと思います。

自身喪失の帰り道

もう耐えられませんでした。色々な思考が頭を駆け巡りました。

  • 自分のせいでこうなったので、悪いのは僕であることは確かです。僕はAさんに対しても悪いことは間違いないでしょう。
  • でも、Aさんは4つの連絡事項を知っていたわけですから、僕が頼んだ時に教えてくれてもよかったわけです。
  • 結局、人前で恥をかくんだったら、人事に「もう一度教えてください」と恥を忍んで行けばよかったわけです。
  • そもそも、はっきりハキハキと返事をするということにとらわれてしまい、話を聞いていなかったことも問題です。
  • そして、はっきりハキハキと返事をするということにとらわれてしまったのは、グループワークで話しかけられないから、なんとか自分を変えようと思ってしたことでした。
  • だから、グループワークでメンバーと普通に会話できていればこんなことにはならなかったわけです。

なんで、話しかける、言葉を発するだけなのに、こんなに悩んでいるのか?そのせいで話の内容が全く頭に入らず、同期に命まで否定される言葉を浴びせられなければならないのか?僕はどうしてしまったんだろうと目に涙を浮かべながら帰りました。

でも、なぜそんなことになったのかは今でもわかりません。ただ、仕事で一番大切とされるコミュニケーション能力が欠如しているんだと痛感するようになりました。

自信なんてものはなくなり、最低限のことだけして生きていこうという思いが強くなりました。

おしまい。