うつ病による休職を開始してから4ヶ月半ほどした頃、僕は比較的元気になりました。昼は図書館に行って本を読むようになるくらいに行動できるようになりました。
元気になるにつれてあることが気になりました。
「この先どうしようか?」ということです。
選択肢としては以下の3つです。
- 復職する
- 退職する(転職する)
- その他
色々考えているうちに、「その他」の可能性として大学院に行くという選択肢を考えるようになりました。でも、研究が僕に向いているとも思えない・・・。
復職するという選択肢を削除
僕の勤めていた会社は最大で1年半休職できました。症状が悪ければずっと休職しても良いと思いますが、休職期間は僕が決めることではなく医師が決めることなのでいつまで休職できるかはわかりません。
僕の体調はすこぶる良くなっていく一方で、朝も起きるようになり、夜も寝るようになりました。何と言っても、図書館へ行くようになりました。
このペースを維持できれば、近いうちに休職は終了し、復職することになりそうでした。
でも、復職したくありませんでした。当然と言えば当然です。ずっと休んでいたのに「明日から会社へ行け」と言われたら、誰だって行きたくないでしょう。ゴールデンウィーク後の出勤を思い出していただければ想像しやすいと思います。ましてや僕は4ヶ月以上休んでいるわけですからね。
それに、根本的な問題が解決されていない限り、復職してもまたうつ病を再発するだろうと思いました。人とコミュニケーションが取れない僕は仕事ではミスを連発していました。その状況を改善しない限り、また社内ニートになって、上司にきついことを言われて、仮病で欠勤を繰り返し、休職することでしょう。
他のうつ病の方の場合、うまく働けていた時期もあれば、プレッシャーが強くて残業時間も長いという具合に良くない働き方の時期もあり、良くない働き方の時期にうつ病になるのだと思います。
一方の僕は新卒として入社して以降、うまく働けたことは皆無。ずっと人とコミュニケーションできず、ずっと仕事でミスをし続け、気づけば社内ニートになっていました。そのため、どうすればうまく働けるのかがわかりません。
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復職したら、半年もしないうちに再休職するだろう・・・。
そんなわけで復職することには不安があり、復職したくありませんでした。その結果、復職という選択肢は削除しました。
転職する選択肢も削除
復職しないのなら、退職することになります。退職して毎日ボケーっと生きていけたら良いのですが、生活に必要なお金を稼がなければなりません。つまり、転職する必要があります。
でも、考えてみてください。僕はうまく働けたことがないのです。転職先の会社でも、今いる会社と同じ問題を抱えることでしょう。人とコミュニケーションが取れないとか、仕事でミスばかりするとか。
さらに、僕をほしいと思う会社はあるでしょうか?入社してからまだ2年も働いていない僕を、しかもその2年のうちの4ヶ月半をうつ病で休職している僕を。
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転職するのはほぼ無理だから、退職するわけにもいかない・・・。
残されたのは「その他」という選択肢です。
大学院へ行くという選択の登場
残りの選択肢が「その他」なのですが、実は心の中にずっと思っていたことがありました。それは大学院へ行くということでした。
もともと大学受験のときから、僕は大学院へ行くことを考えていました。「研究するなら最低でも旧帝国大学に入学しなければならない」と考えていたため名古屋大学を受験しましたが不合格に、後期日程は旧帝大レベルは不合格になると思い横浜国立大学を受験しましたがそれも不合格になり、受験生くらいしか知らない地方私立大学へ入学しました(詳細は「北九州予備校小倉駅校の大志寮で浪人した僕の日々と実績」)。
研究するなら旧帝大だと思っていましたし、今でもそう思っているのですが、名のない私大へ進学したことで大学院進学の希望は消えました(修士から旧帝大クラスの大学院へ進学すればよかったのですが、そんな努力もせずに私立文系学生として楽しいだけの大学生活を満喫していました)。
とは言え、心の底の方には「大学院へ行きたいなぁ」という思いが残っていました。
さらに、僕は卒業論文をちゃんとやった学生でもありました。卒業論文はちゃんとやるものでしょう?と思うかもしれませんが、私立文系では卒業論文なんてただの長いレポートの人が多いです。学生によってはA4用紙で8枚くらいなんて人もいます。そんな中、僕は先行研究をベースに仮説を立てて、フィリピンのスラム街でアンケート調査を行い、多変量解析などの手法を使って仮説を実証し卒業論文を書きました。
今の僕は博士号持ちの研究者なのですが、僕が書いた修士論文、博士論文と比べても、この卒業論文は本当にすごく良い論文だったと思います。どこかの学会に査読論文として投稿してもよかったんじゃないかと思っています。
そして何より、卒業論文の作業をしているときは、すごく楽しかったんです。論文リストを作ったり、図書館で論文を探したり、空き教室の黒板に「あーでもない。こーでもない。」と書き出したりまとめたり、分析結果の意味を解釈したりと、それら全部楽しかったのです。
「研究してみるのいいかも。大学院へ行くのいいかも!」
大学院進学への不安も・・・
確かに卒業論文をしているときは楽しかったです。1人でブツブツ考えたり、ゼミの友達と一緒に考えたり、先行研究を集める作業だけでも楽しかったです。
大学院進学は楽しそうです。
しかし、不安もありました。
コミュニケーションが必要
研究者は全てのことを知っているわけではないので基本的に研究とは共同で行うものです。修士課程なら指導教員と共同だったり、同じ研究室や研究所の人たちと共同で研究を行います。
何を研究するのか決めていない僕ですが、社会人になって以降の僕は人とコミュニケーションがうまく取れなくなりましたので、この点が心配でした。
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研究メンバーと意思疎通できるだろうか?
考えることが苦手になった
研究はとにかく頭を使います。仮説を考えるのにも頭を使いますし、考察にも頭を使います。
一方、僕はうつ病になる少し前くらいから、いや会社に入社してしばらくしてくらいから「うまく考えられない」ということを自覚するようになりました。あと一歩深く考えたいのに、それができない。理論的な思考ができない。直感や本能だけで生きているような感じです。
考えようと思うと頭の中に「考える」という文字しか浮かばないくらいに、考えることができなくなっていましたので、この点も不安でした。
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研究に必要な思考力を持っているのだろうか?
研究は今の僕に一番向いていないのでは?
卒業論文執筆の頃を思い出すと大学院へ進学することを想像するだけでワクワクしました。一方で、今の現状に基づいて大学院進学を想像すると不安が大きくなりました。
この先、一体どういう進路を選べば良いのでしょう?
相談するしかない
僕1人では決められません。だから、誰かに相談して決めることにしました。
もともと友人がいない僕の社会人生活ですが、休職して以降は人に出会う機会も極端に無くなっていました。そのため、相談できる人と言えば医師と両親だけです。この数少ない相談相手に意見を聞くことにしました。
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