人生で病院に行ったことのない人はほぼいないと思います。小児科、内科、外科などはよく聞くでしょうし、お世話になったことでしょう。
その一方で、精神科、心療内科についてはあまり馴染みがないと思います。「心療内科へ行った方がいいのかな?」「心療内科へ行ってみようかな?」と思っても、どんな場所なのかわからないのでなかなか実行に移せないものです。
そんな心療内科に初めて行こうと思っているあなたに、僕の体験談を交えて心療内科に行った際に驚いたこと3つを紹介します。
悪化するよくわからない僕の精神状況
入社以降の僕はなぜか人と会話することが難しくなり終日無口なこともありました。さらに、仕事のスピードも遅く精度も低く、全てにおいてダメ人間でした。
そうした人間でしたので、会社ではちょっとしたことが気になって緊張して、そのことが不安で仕方がありませんでした。
- 雑談で話しかけられた時にどう返事すればいいのか?
- 明日の仕事内容はどんなものか?難しいものがあったらどうしよう?
- 仕事でわからないことがあったら、どう先輩に聞けばいいのか?
- 声をかけるときのタイミングや声の大きさはどれくらい出せばいいのか?
新入社員なら誰しもが抱えるような悩みだと思います。そんなことに悩むのは普通のことだとも思います。けれど、僕にはたかが普通のことなのに、普通以上に悩んでいることも不安でした。
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こんな状態で、今後もちゃんと働き続けて、結婚して、家族を持って、定年まで働けるのだろうか?
まさか、3年とかで仕事をやめるタイプでは?
そんな会社での振る舞い方をきっかけに、僕の人生に関することの数々の不安を一日中考えるようになり、僕の生活は以下のようになりました。
- 飲む生活
家に帰っても酒ばかり、酒がないと明日の会社のことが不安で仕方がないので浴びるように飲む。 - 3時過ぎに寝る睡眠生活
寝るとすぐに朝が来る。朝が来てほしくない。寝たくない。ギリギリまで起きていたい。結果、3時過ぎに寝る。
サザエさんのエンディングを見れば、「明日から月曜日かぁ。1週間がまた始まる。会社が始まる」と、どんな人でも憂鬱な気分になります。
サザエさんのエンディングを見て、「ウォー!!!!パワーがみなぎってきた!!」なんて人はいないでしょう。
僕だって、前者のタイプです。サザエさんのエンディングを見れば憂鬱になります。みんなそうなのだから、僕が感じていることは普通なことです。
ところが、普通のことなのに、僕はすごく悩みまくっています。毎日サザエさんのエンディングを見ている気分。これが一生続くのだとしたら、60歳の定年まで耐えられそうにない。やっぱり、僕は何かがおかしいのだ。
1. 予約がいっぱいで、取れたのは2週間後
ネットサーフィンして色々なブログを読んで、そういう悩みは心療内科とかメンタルクリニックで相談するということを知りました。「医者じゃないとわからないから病院で診てもらおう」と思い心療内科をネットで調べるとすぐ近くにあることを知り、ホッとしました。
「へぇ〜。完全予約制なのか」と、ほとんどの病院が完全予約制なことも知りました。
すぐにでも診てもらって、症状を治してもらおうと思いながら電話しました。
病院:「はい、○○メンタルクリニックです」
僕:「あ、あの〜。予約をしたいのですが・・・」
病院:「初めての方ですか?」
僕:「は、はい。」
病院:「どのような症状ですか?」
僕:「えっと。すごく不安で、毎日苦しくて・・・」
病院:「わかりました。今ですともっとも早くて2週間後の月曜日の午前中になりますが、よろしいですか?」
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エッ!?2週間後!?今苦しんでるのに、2週間後?それは遅すぎる・・・。
僕「あっ、すいません。また考えてから、電話します」
そう言って電話を切りました。だいたいこんな感じの会話でした。
この時は知らなかったのですが、心療内科の予約は常に混んでいるらしく、予約してもすぐに通院できるわけではなく、2週間とか1ヶ月後とかしか空いていないことは珍しくありません。市内の心療内科に手当たり次第に電話をしたものの、どこも大繁盛なようで同じようなスケジュールを提示されました。
結局一番最初に電話をした病院に予約を入れ、2週間も待つこととなりました。予約する前はすごく期待していただけに、予約が2週間後というのにはかなり失望しました。
2. 何を話せばいいのかわからない
病院の様子に驚き
2週間がたち、ようやく病院の日が来ました。かなり緊張して病院へ向かいましたが、病院に入った瞬間に驚きました。
- まず人の多さに驚いた
病院の待合スペースは30人くらいが座れる座席が用意されていたのですが、満席でした。(その後いくつかの心療内科にお世話になったが、ここまで混雑した心療内科に出会ったことがない。) - お年寄りの多さに驚いた
うつ病などは現代病という認識があったため、若い人がなる病気だと思っていました。でも、待合スペースには仕事をリタイヤしたであろう高齢者ばかりがいました。
受付で「予約していたものです」と名前を伝えて自分の番が来るのを待ちましたが、そこでも驚くことが・・・。
- 一人当たりの対応時間が短い
予約制なのに30名くらいが待っているのだから、1人5分で対応しても1時間に12人しか対応できません。なので1人あたりの対応時間は短く、名前が呼ばれたかと思ったら、すぐ次の人の名前が呼ばれていました。 - 時間通りにこない患者さんがいる
一人の患者さんが「俺はもう1時間も待ってるのに、後から来たやつの方が先に呼ばれている!」と激怒。受付の人は「○×さんの予約時間は9時だったのですが、10時に来たので時間通りに来た方を優先しています」と答えていました。僕は心の中で「時間通りに来いよ!」と思いました(うつ病を患った今では、病院に時間通りに行くという難しさを理解できます)。
そんなこんなで、ついに僕の番が回って来た。
診察で話すことがない、思いつかない
医師「いかがされましたか?」
その医師は、白髪のおじいちゃんくらいの年齢でした。そして、急に、難しいことを聞いて来るなぁと思いました。YESかNOで答える質問は簡単ですが、HOWとか、WHATで聞かれた質問に答えるのは結構難しいです。
僕は、心療内科ではメンタルヘルスチェックリストみたいな質問に答えて、医師がそこから病状とかは判断すると思っていたので、自分で自分の症状を説明するとは思っていませんでした。
2週間前の辛い日々の生活を思い出しながら、とにかく不安に襲われて、毎日こんな生活が続くようでは、この先働いていける自信がないことを伝えました(今思うと、もっと具体的な話をすればよかったと思うのですが、説明する準備をしていなかったので、この時は「不安で、不安で、不安なんです」と不安という言葉ばかりを連呼していました)。
なので、医師もさっぱり僕の話がわからないようで、「不安って、どんな不安ですか?」と聞くのですが、またHOWの質問で返されてしまい、うまく答えられません。具体的に何が不安なのか?そのせいでどう困っているのか?という話をちゃんと伝えられませんでした。
そんな感じで、診察は終え、時計を見ると5分しかたっていませんでした。消化不良感が残る診察でした。
心療内科に行く際には準備が必要
僕は社内ではほぼ無口、家では一人暮らし、週末一緒に過ごす友達や恋人もいないので、入社して半年間くらい話をするという行動を全然していません。なので、アドリブ力もなく、その場で考えて説明をするということができなくなっていたようです。
病院から家に帰りながら、「こう話しておけばよかった」「あの話をすればよかった」と後悔ばかり出て来て、ちゃんと何を喋るのか準備をしてから心療内科に行こうと思いました。
実は今でも心療内科の医師と話すのはかなり難しいことだと思っています。めちゃくちゃく頭の中でシミュレーションして、スマホのメモ機能に話す順番をメモしたりして、それでようやく医師に自分の伝えたいことを伝えられているような状態です。
3. 効果はすぐには出てこない
病院に行く前の僕は心療内科に対して大きな期待をしていました。
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カウンセリングが行われて、僕の欠点や短所を克服するためのアドバイスがもらえるんだろうな。
もちろんそういう病院もあります。しかし、僕が行った病院は大量の患者を抱えており、一人当たりの診療時間は数分なのです。その数分間で医師の脳内にある決定木から適切だと思われる薬を処方しているだけでした。
薬を飲んだからと言って、いきなり全てがオールクリアになるわけがありません。突然ベラベラと会社の人とコミュニケーションが取れるわけでもなく、仕事ができる男に変わるわけもないので、やっぱり不安や緊張は感じ続けながら働きました。
効果が出るまでには時間がかかるのです。僕の場合、しばらく通院したり、通院しなくなったりを繰り返したこともあり、効果はさらに出にくかったと思います。それでも、仕事を退職するまでずっとこの心療内科一つにお世話になりました。
まとめ
心療内科に初めて行った際に驚いたこと3つを紹介しました。
- 予約はいっぱい。
- 何を話せばいいのかわからない。
- 効果はすぐには出ない。
僕の行った病院は人が多すぎて診察時間は短くて消化不良な病院でしたので、当時は「どこもこんなもんだろう」と思っていましたが、今思うとちょっと異常だったのではないかと思います(今までに5つほどの心療内科を訪ねましたが、あんなに混雑して診療時間が短いのはなかったです)。
おしまい。
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